【いいもの】 文化会館、20年後のバリアフリー

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 いま、総合文化会館の前庭(ふれあい広場)でスロープの設置と点字ブロックの敷設工事が行われている。
 広場を、市役所庁舎側の横断歩道から、ピロティ(大ホール・小ホール入り口とプラネタリウム棟の間の空間)まで、一直線に点字ブロックが設置されて、車いすで上がれるスロープも設置される。
 費用は、昨年11月議会で可決された一般会計補正予算の207万円である。

 これまで、広場からのわずか4段の階段がバリアになって、車いすでは上がれなかった。
 車いすの人がプラネタリウム棟に行こうとすれば、事務室側から入って、中の通路を通って抜けてくるしかなかったし、点字ブロックも事務室側からしか接続されていなかった。
 実は、1987年の建設当初はもっとひどくて、点字ブロックは車寄せから事務室前までのわずかの区間しか設置されてなかった。
 建設前に、議会に設計図面が説明されたときに、広場から直接にピロティに上がれるようにスロープを設置すべきだと要求したが、行政当局は「必要ない。設置する考えはない」と、断固として拒否したものだ。

 当時の執行部の言い分はこうである。
 『視覚障害者用の点字ブロックは事務室側に付いている。車いすの人も事務室の方から入れるから、さらに付ける必要はない。視覚障害者も車いすの方々も、事務室に申し出れば職員が案内します』
 つまり、もしも車いすの人が来館すれば職員が付いてあげて、そのままホール前列の車いす用の席まで案内してあげるから、その方が安全だというのである。
 視覚障害者や車いすなどの身体の不自由な人の入口は1箇所でいい、しかもそうした人は1人では歩かないものだ、誰かが付いてあげるものだという先入観念がそこにはあったようだ。
 また、プラネタリウム棟の裏に別の入口があるので、そこからなら車いすの方も段差なしで入れるとも言っていたが、実はそちらの入口はふだんは締め切られている。
 もしも車いすの人がそちらから入ろうとすれば、わざわざ連絡して開けてもらわなければならない。

 その後、開館直後の議会から一般質問などで、何回か取り上げて点字ブロックの設置拡大を求めたが、当時の担当部長は驚いたことに、『点字ブロックを設置すると一般の健常者が歩きにくくなる。美的観念の問題もある』と堂々と答弁したものである。
 “点字ブロックを設置すると一般の人が歩くのにじゃまだから付けない方がいい”
 “大理石のきれいな床に、黄色い無粋な点字ブロックを貼るわけにはいかない”
 “広場の噴水を中心にしてレンガブロックを放射状に美的に敷き詰めたのに、ここを横切って黄色い点字ブロックを貼っては美観を損なう”というわけだ。
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 こんなばかげた差別思想が認められるわけがないから、その後、点字ブロックは東側の駐車場や、会館内部のロビーやホワイエなどに少しずつ設置が進められていったが、それでもどうしても、広場を横切る形での点字ブロックは絶対に設置しようとはしなかった。
 したがって、この問題を追及してきた私としては、最後まで残った広場の点字ブロックとスロープを、今ようやく実現することになったのは、残念ながら、久喜市行政の思想が先進的であったからだと評価することはどうしてもできない。
 バリアフリーやユニバーサルデザインが“美観”に優先する社会的常識が、やっとここまで来たということであろう。
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by tomoni_k | 2011-02-21 16:19 | いいもの