【「変」だ】 久喜市の街路樹たち
障害者の教育権を実現する会という市民運動団体の機関紙・月刊『人権と教育』に、編集部からの依頼で年に4~5回くらい、短い文を掲載している。
以下は12月20日発行の『人権と教育』493号に寄せた文である。
---------------------
街路樹の紅葉と落ち葉
猪股和雄
家の近くに久喜市景観百選にも選ばれたケヤキ並木がある。
新緑の季節には1.5㎞にわたって緑のトンネルを作り、今の時季(11月下旬)の紅葉は見事である。
もっとも地元住民にとってはその落ち葉は厄介者でしかなくて、掃いても掃いてもきりがない。
家々の屋根より遙かに高く伸びた枝から降り注ぐ落ち葉が雨どいに詰まって重みで落ちてしまうといった被害も出て、何とかしてほしいという悲鳴さえ上がった。
やむを得ず市では10mほどの高さで刈りそろえたのだが、景観をぶち壊しにしたという批判もある。
そもそも、幅員わずか12mの道路の両側に樹高20mにもなるケヤキを植えたこと自体に問題があったのだが…。
ここはまだいい方で、市内の県道のケヤキ並木は、住宅の2階の雨どいの高さで切りそろえられていて、冬にはまるで丸太ん棒か刺又(サスマタ)が並んでいるような光景だ。
毎年夏の終わりには枝を全部落としてしまうので紅葉も落ち葉もない。
別の市道で、ユリノキの並木もプラタナスの街路樹も秋口には丸太ん棒状に枝落としされてしまう。
議会で環境派の議員といっしょに「街路樹管理条例」を作って、樹種の選定、剪定方法の工夫、できるだけ農薬を使わない樹木管理を求めてきた。
その後に整備された市道には街路樹に常緑のクスノキを植えて、自然樹形を生かした管理が取り入れられて少しは改善されてきている。
イチョウ並木は横に伸びる枝だけを落としているので美しい黄葉が見られるが、葉が青い季節には遠目からは細身のイトスギのように見えないでもない。
市街地の中の街路樹は景観と住民の苦情のバランスをどう取るかの判断がむずかしいが、最近では各地で自然樹形を生かした街路樹管理が関心を集めるようになってきている。
桜並木などでは“害虫”の問題もある。久喜市では環境方針で化学物質=殺虫剤の散布を極力抑制しているのだが、住民からは相変わらずアメリカシロヒトリの苦情が多い。
---------------------
『人権と教育』には文章だけだが、ここでは写真も付けておこう。
これは、県道幸手久喜線の、サスマタのようなケヤキ
久喜駅西口大通りにある、丸太ん棒のようなユリノキ
久喜駅東口大通りの、これでもプラタナス(?)の並木…
毎年、同じ所で枝落としするので、こぶだらけだ。
このプラタナスは、もう「杭」に近い
細身のイチョウ並木
市役所通りのクスノキの並木、常緑樹だから今でも青々としている
by tomoni_k | 2015-12-10 18:44 | 「変」だ