人気ブログランキング | 話題のタグを見る

【「変」だ】 街路樹の害虫は農薬でやっつければいいのか

 久喜市議会の一般質問で、ある議員からまた、「街路樹の毛虫退治に、薬剤散布すべきだ」という意見が出た。
 議員が「薬剤」というのは言うまでもなく「農薬・殺虫剤」のことを意味するのだが、なぜ「薬剤」という曖昧な言い方をするのだろう。
 「また」と書いたのは、合併前から何度か思い出したように、農薬散布を主張する人がいるからである。
 この議員は「アメリカシロヒトリ」や「黒い毛虫」と言ったが、これはモンクロシャチホコのことであろう。
 アメリカシロヒトリも、モンクロシャチホコも、体中が毛だらけでいかにも気持ち悪いが、人を刺すことはない。
 ただほとんどの人は毛虫は嫌いだから、見るだけでいやだ、自宅の庭で見かけたらすぐに殺虫剤を噴霧する人が多いのは、気持ちとしてはわからないでもない。

 久喜市のホームページに【参照⇒】は、「農薬はできるだけ使用しないように。やむを得ず使う場合には必要最小限に」と注意喚起している。
 埼玉県のホームページ【参照⇒】には、「農薬は病害虫の防除に有効な資材ですが、使い方を誤ると人や環境に影響を及ぼす恐れがあります」「農薬は適正に使用しましょう」という記載もある。
 多摩市のホームページ【参照⇒】には「モンクロシャチホコに、原則として農薬は使用しません」という記載もある。
 国立市のホームページ【参照⇒】には「モンクロシャチホコは害虫ではありません」という記載もある。

 以前はよく久喜市の街路樹や公園でも、アメリカシロヒトリを殺すために、春先から夏にかけて大量に農薬散布をしていた時代もあった。
 本当は殺虫剤は、毛虫に直接にかからないと効果はないのだが、毛虫が発生してもいないのに撒いていたり、葉の裏にいるシロヒトリには効果がないので、散布した後にすぐに大量発生したりした。
 散布の日程をこなすためだけに、強風の中で、あるいは人がいてもかまわずに散布したり、農薬を散布した後に子どもが遊んでいたりしたこともあった。
 農薬は言うまでもなく殺虫剤であり生物にとっての毒物だから、むしろ農薬散布の害の方が大きかったと言える。
 また、農薬の散布は環境ホルモン(内分泌攪乱物質)が含有されている場合もあるが、そうでなくても、自然生態系を破壊する恐れも指摘されている。

 久喜市では、街路樹の適正管理に関する条例【参照⇒】を定めていて、「街路樹等の病害虫駆除は、可能な限り化学薬品等の使用を避けるものとする」と規定している。
 久喜市当局が改めて、農薬の害をどう捉えるか、自然生態系をどう捉えるかが問われている。

by tomoni_k | 2019-12-05 17:30 | 「変」だ